
1on1ミーティングで話すこととは? 目的・テーマ・進め方など徹底解説
「1on1ミーティングのテーマの決め方は?」
「1on1ミーティングの進め方についても知りたい」
この記事はそんな方のための記事です。1on1ミーティングとは、「部下の本当の思いを引き出す場」として、上司と部下が1対1でおこなう面談のこと。この記事は、1on1の概要をはじめ、「話すこと」について詳しくご紹介していきます。
- 1on1ミーティングの目的・テーマがわかる
- 1on1ミーティングの進め方がわかる
- 1on1ミーティングでの質問の仕方を学べる
最近さまざまな企業で導入が進み、じわじわと浸透してきた1on1ミーティング。あらかじめ話すことや質問の仕方を知っていれば、上司・部下どちらにとっても有意義な時間になるでしょう。ぜひ今回の内容を、自社の1on1ミーティング実施にお役立てください。
1on1ミーティングの目的とは?
どんなテーマで1on1ミーティングを行うのか? それも大切ですが、それ以前に重要なのが「目的」です。企業によって1on1を実施する目的はさまざまかと思いますが、大別すると1on1実施の目的は以下の3つです。
- 部下の育成
- 公平・公正な評価
1on1の最大の目的ともいえるのが「部下の育成」です。上司には、自分の成果だけでなく「成果を上げる部下をたくさん育てること」が求められます。適切なマネジメントをおこなうことで、組織力アップにもつながるのです。
また「従業員エンゲージメントの向上」にもつながります。従業員エンゲージメントとは、社員が会社に対して「もっと貢献したい」と思っている状態のこと。1on1ミーティングは、部下の「やる気」を引き出さすキッカケとしても役立つでしょう。
会社として成長していくためには社員への「公正・公平な評価」が重要です。1on1ミーティングは、週1〜月1回といった「短いスパン」でおこなうため、社員の状態を把握しやすくなります。
フェアな評価が、社員一人ひとり、あるいはチームとしてのパフォーマンス向上にもつながるのです。
1on1ミーティングのテーマ
続いて、1on1ミーティングで話し合いたいテーマについて見ていきましょう。先ほどお伝えした目的別にテーマをご紹介します。
部下育成を目的とした1on1のテーマ
まずは「部下育成」を目的とした1on1ミーティングのテーマを見ていきましょう。具体的には以下の4つがあげられます。
- モチベーション向上
- 業務・組織の課題解決
- 目標設定
- キャリア支援
モチベーション向上
部下のひたむきな姿勢を褒めるなど「モチベーション向上のための会話」。
仕事で不安になっていることがないかなど「モチベーション低下を防ぐための会話」。
この2つをメインに話し合いを進めていくのがオススメです。
業務・組織の課題解決
仕事内容や組織の現状について、部下本人が感じている「問題点」や「改善点」を洗い出します。1on1で話し合うことで「普段なかなか口に出せない問題点」を見つけられるでしょう。また、部下に対して「何か要望はない?」と聞いてあげるのもオススメです。
目標設定
部下自身の目標設定について話し合うことで、「会社のビジョン・戦略等が正確に伝わっているか」を確認することもできます。
また、たとえば部下に対して「今の仕事に対してどう思っているのか?」「この目標を達成して何を得たいのか?」などの質問をすることで、部下の普段なかなかオープンにできない部分を知れるでしょう。
キャリア支援
「仕事へのやりがいはなにか?」「希望するキャリアは何か?」といった、部下自身が望むキャリアについて深掘りをします。
キャリア設計ができていない部下に対しては、上司が客観的に見た「強み」を教えてあげることで、本人が今後のキャリアを考えるキッカケを作ってあげることもできるでしょう。
従業員エンゲージメント向上を目的とした1on1のテーマ
続いて「従業員エンゲージメント向上」を目的とした1on1ミーティングのテーマをご紹介します。具体的には以下の3つです。
- プライベートの相互理解
- 心身の健康チェック
- 会社としての方針・戦略の伝達
プライベートの相互理解
プライベートなことについて話し合いながら、上司と部下との信頼関係を深めていくことも仕事を進める上においてはとても重要なことです。「最近ハマっている趣味は?」「好きなテレビ番組は?」など、フランクな質問で会話を進めていくのも良いでしょう。
心身の健康チェック
社員の健康は、会社にとってもっとも大切なことのひとつです。1on1ミーティングを利用して、部下の「業務量」「睡眠時間」などを話し合いましょう。「体調に変化はないか?」「仕事量が過多になっていないか?」などと質問し、部下の健康状態を確認しましょう。
会社としての方針・戦略の伝達
会社のメンバーと同じ方向を向くためには、部下に対して「経営陣や上司が考えている方針・戦略」を共有する必要があります。たとえば、「なぜ今のこのような方針に至ったのか?」などを、1on1ミーティングを通してわかりやすく部下に伝えましょう。
1on1ミーティングの進め方
それでは、いよいよ実践です。1on1ミーティングの具体的な進め方について見ていきましょう。ここでは「実施前」「実施中」「実施後」の3つにわけて、それぞれのポイントを解説していきます。
実施前
まずは、1on1ミーティングの「実施前」のポイントから見ていきましょう。
- テーマを決める
- 上司・部下ともに伝えたい内容を考えておく
まずは、1on1ミーティングで話し合うテーマを決めます。最近の部下の状態を見ながら「部下が求めているであろうこと」をテーマとして設定するのが吉。また、部下に主体性があるのなら、本人にテーマを決めてもらい、主導権を握らせるのも良いでしょう。
一方、お互いに「何でもどうぞ」という姿勢だと、ミーティングもうまく進みません。お互い「上司に聞きたいこと」「部下に何を伝えたいか」を考えておくとスムーズです。
実施中
続いて、1on1ミーティングの「実施中」のポイントです。
- 部下の話をしっかりと聞く
- 先読みしすぎない
1on1ミーティングは人事考課とは違い、「部下のための時間」となります。そのため、部下の思いに寄り添いながら、しっかりと耳を傾けることが大切です。
このとき、「先読みのしすぎ」はNG。部下が事前にテーマを提示してきた場合、「こんな問題を抱えているのではないか」「こんなアドバイスをすれば良いのではないか」と先読みをしすぎて、相手が求めていないアドバイスをしてしまうケースもあります。
何よりもまずは「相手の話を聞く」ことを徹底しましょう。
実施後
最後に、1on1ミーティングの「実施後」のポイントを見ていきましょう。
- 上司はミーティング内容を振り返る
- PDCAを管理する
1on1ミーティングが終わったら、上司は「部下にとって話しやすい場であったか」「前回と比べて新たな気づきがあったか」など、全体の振り返りをしましょう。
また、1on1ミーティングの「実施中だけ」を振り返るだけでなく、実施前や実施後の一連の流れを振り返るとさらに良し。事前準備・実施・振り返り・改善の「PDCA」を振り返っておくことで、次のミーティングにも役立つでしょう。
部下に面談で「特に話すことないです」と言われたら?
話したいテーマが定まらず、部下に「とくに話すことがありません…」と言われるケースも少なくありません。そういった部下に対しては、「閉ざされた質問」と「開かれた質問」を使い分けるのがオススメ。
閉ざされた質問(クローズドクエスチョン)
質問に対して「YES or NO」で答えられる質問のこと。または、「どこに住んでいますか?」など、質問に対して「札幌市です」というように、すでに特定の答えが決まっている質問のこと。
答える側は、頭で考えなくてもパッと答えを出せるメリットがあります。
開かれた質問(オープンクエスチョン)
たとえば「仕事に関して、 ”どんな” 悩みがあるか?」といった、質問に対して自由な回答を求める質問のこと。答える側には、「自分で考えるクセ」がないと言葉に詰まってしまうデメリットがあります。
自分で考えるクセがついていない部下に対して「開かれた質問」をすると、「とくに話すことがありません」と返ってきてしまうことも。そのため、まず、Yes or Noで答えられる「閉ざされた質問」からスタートするのもひとつの方法です。
1on1ミーティングで使える質問集
「1on1で、どんな質問をすればいいのかよくわからない…」という方は、ぜひ以下の質問を意識してみてください。質問のパターンは、「未来志向の質問」「相手に考えさせる質問」「行動や気づきの質問」の3つです。
未来志向の質問
1対1での話し合いでは、つい「過去」を掘り下げてしまいがちです。しかし、過去のことばかり質問するのはNG。過去を追求するのでなく、「未来」のことを考えさせる質問をしましょう。
- このプロジェクトに対して、〇〇くん/さんはどうしたい?
- このプロジェクトを通して、〇〇くん/さんはどうなりたい?
- もし目標が達成できたら、どんな気分になるだろう?
- それ以外にどんな可能性が考えられるだろう?
部下が「今後どのように仕事をしていきたいか」という未来志向の質問をすることで、進むべき方向が明確になります。
相手に考えさせる質問
1on1ミーティングは「部下の悩み」や「本当に思っていること」を引き出す場です。そのため「今の得意先は?」「仕事の進捗は?」など単調な質問ばかりでは、効果は得られないでしょう。
そこで、できるだけ「相手に考えさせる質問」をすることで、部下自身に「考えるクセ」がつき、主体性アップにもつながります。
- 〇〇くん/さんが仕事に対して求めていることは?
- 仕事をする上で、〇〇くん/さんが大事にしているものって?
- 「仕事が楽しいと思えるのはどんなとき?
部下自身の内省につながるような質問をすることで、新たな気づきを与え、モチベーションアップにつなげましょう。
行動や学びの質問
部下自らが携わったプロジェクトについて、その学びや気づきを振り返ります。行動から学び、学びから新たな行動へと結びつけることができるのです。
- そのプロジェクトでは、どんなことを試したの?
- うまくいかなかった部分は?
- 失敗からどんな気づきや学びがあった?
部下の成功を褒めるだけでなく「失敗」にもフォーカスすることで、次なるプロジェクトへのモチベーションにもつながります。
【コラム】手段を目的とせず、従業員エンゲージメントを高めよう
これまで、1on1ミーティングについて詳しくご紹介してきました。ただ、忘れてはならないのが、1on1は「手段」であり「目的」ではないということ。もしも「1on1ミーティングを実施すること」自体を目的としてしまうと、社員の本当の気持ちを引き出すことは難しいでしょう。
1on1ミーティングでのテーマ設定についても見てきました。モチベーション向上、プライベートの相互理解、心身の健康チェック、キャリア支援など…。部下育成、従業員エンゲージメント向上に役立つさまざまなテーマがあげられます。
しかし、1on1ミーティングにおいてもっとも重要なのは、「部下の本当の気持ちを聞いて、本当の目的を達成すること」です。テーマについて話し合うだけでなく、「部下の育成をしたい」「従業員エンゲージメントを高めたい」など、テーマの先にある「本当の目的」にフォーカスすることを意識しましょう。
1on1ミーティングという「手段」にとらわれることなく、目的達成のためにできることを柔軟に考えることが大切です。
【まとめ】1on1で話すこと
本記事では、1on1ミーティングでの「話すこと」について、以下のポイントを中心にお伝えしてきました。
- 1on1ミーティングには「部下の育成」「従業員エンゲージメント向上」などの目的がある
- 1on1ミーティングの実施では、それぞれの目的に合わせたテーマを決めよう
- 1on1ミーティングは「実施中」だけでなく「実施前」「実施後」も重要
- 部下に主体性をもたせるなら「閉ざされた質問」「開かれた質問」の使い分けが鍵に
- 1on1ミーティングは手段であり目的ではないため、本来の目的を忘れないことが大事
今回ご紹介したポイントを押さえておけば、主体性のある部下・チームづくりにつながるはず。ぜひ本記事の内容を、自社の1on1ミーティングにお役立てください。